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エンタメ業界のお仕事

第1回:ローディー篇 谷林 南 所属:株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ、職種:ローディー、最終学歴:ESPミュージカルアカデミー コンサートスタッフ科舞台制作コース

音楽・芸能といったエンターテインメント業界で働く人たちに、本音で自身の仕事について語ってもらおうというのが、当企画。
記念すべき第1回目は、楽器を最高の状態に整え、ライブを成功に導くという、アーティストを支える仕事=ローディー篇。
インタビューに応じてくれたのは、ソニー・ミュージックアーティスツ所属の谷林南さん。
エンタメに関わる仕事に興味を持っている女子ユーザーは必見です!

ライブの空間にいる仕事を一番したくて。
楽器+ライブ空間=ローディーってことで、ローディーになろうと思いました。

ローディーという仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。
もともと自分で楽器をやっていたので、なんかこの業界に関わる仕事をやりたいと思って。その中でも、ライブの空間にいる仕事を一番したくて。楽器+ライブ空間=ローディーってことで、ローディーになろうと思いました。
そう思い始めたのは高校時代ですか?
高校時代……2年生までは、どちらかというと自分がバンドしたいという感じでした。なので、3年生になってからです。でも、バンドを諦めたわけではなく、勉強して学んでみたいと思ったことがスタッフの方だったので、ココ(ESPミュージカルアカデミー)に入学したわけです。
ローディーになるにはいろんな方法があると思うんですが、その中で専門学校であるESPミュージカルアカデミーを選んだ理由はなんだったんですか?
今もそうだと思うんですけど、当時も校外のライブ研修がたくさんあるというのがこの学校のウリだったんで、私としてはとにかく現場に早く出たかったんで、それが一番早いのがESP(ミュージカルアカデミー)かなと思って入りました。
入学前には、他校のオープンキャンパスとかも行きましたか?
2、3校行きましたけど、ESP(ミュージカルアカデミー)が一番良かったですね。
ローディーになるための専門学校に行くと言った時、ご両親は反対しなかったですか?
私の両親は、私が何やっても反対しないというか、むしろ喜んでましたね。お母さんも一緒にオープンキャンパスに来てましたし。お母さんはライブ大好きなので、たまに招待するんですけど、喜んでます。
学生時代はどんな感じでしたか? また、どういう日々を過ごしていましたか?
どんな感じですかねぇ? ……学生時代は黒髪でしたね(笑)。研修は黒じゃないといけなかったんで、(研修のある)週末は黒で、(学校に通う)平日はこんな感じです。ちなみに、髪の色は月1回以上変えてます。
今も現場では黒髪なんですか?
現場はこれでやってます。
当時の授業とか実習の中で特に印象に残っていることとかありますか? また、授業で習ったことで今も役立っていることはありますか?
校外の研修で、『サマーソニック』とか『フジ・ロック・フェスティバル』などの海外バンドが来るような大きな現場を経験できたのは良かったですね。
授業や実習以外で、学校に行ってて良かったなって思うことはありますか?
この業界って、同期でも年上ってことが多いので、今でも学校でできた友達と遊んでますね。あとは、実際の仕事で地方などの現場に行って、学生時代にお世話になった他の会社の方や、ESPミュージカルアカデミーの先生、先輩、後輩などにお会いできるのがすごく嬉しいです。
ソニー・ミュージックアーティスツ(以下:SMA)に就職したきっかけは?
その当時、やりたいことははっきり決まっているのに、どこにどうやって就職すればいいのか、迷っていたところで、先生に「こんな求人あるよ」って教えてもらって、履歴書を出してみることにしました。すごく自分のやりたいことができそうな会社だし、とても興味はあったのですが、ソニーなので、まさか受かるとは思ってなかったんですけど……(笑)。入社試験の直前も、個人面談の練習しかしなかったんですけど、いきなり集団面接だったので焦りましたね(笑)。
集団面接やった後は個人面談やって筆記試験って順番ですか?
集団面接後、「追って連絡します」って言われて、もう一回面接がある予定だと聞いていたんですね。そしたらその連絡が採用決定の連絡だったので、とても驚きましたね。まだ心の準備が出来てなかったです(笑)。
集団面接だけで? すごいですね。
はい。入社後、先輩に、「採用した理由は、辞めなさそうだったから」って言われました(笑)。
根性ありそうに見えたんですかね?
面接では、学生の時に頑張って行っていた30現場以上の校外研修をめちゃくちゃアピールしました(笑)!ちなみに、私の同期は4人いるんですけれど、まだ誰も辞めてないです。

事前に知識があったほうが絶対にいいと思います。私も学校で学んだことや校外での実習を経験していたから、ある程度すんなりと入っていけたというのはありますから。

ローディーの仕事って多岐に渡りますよね。楽器の手配から始まってセッティング、チューニング云々。谷林さんはひと通り全部やるタイプなんですか? それともその中の何かに特化してるタイプですか?
所属する会社等によってさまざまだと思うんですが、弊社の場合はセッティングやチューニング含めて、ローディーの仕事と言われるものは全部やります。そして、それらのことに関して、担当するバンドのメンバーとも話し合ってやってます。
「ローディー」って、「インストゥルメンタル・テクニシャン」と呼ばれることもありますが、谷林さんの立ち位置的には、「ローディー」のほうが正確な呼び名って感じですね。
そうですね。弊社におけるローディーの業務には、マネージメントもたまに含まれているというか……楽器周りだけやればいいという感じじゃなくなっちゃうんですよね。それに、細かい修理とかはテクニシャンに頼んだりするので、そういった意味でも「ローディー」ですね。
ディレクションとかプロデュース的要素も少し入ってきているんですね。
そうですね、演出とかにも意見できたりします。
バンドやアーティストによって、立ち位置もやることも変わりますか?
そうですね。現場の規模にもよりますし。現場は私ひとりで3〜4人を担当することもあるし、先輩とふたりってこともあるし……大きい規模になると、メンバーひとり一人にそれぞれローディーがつくし。
以前、奥田民生さんを担当していたということですが、その時はどういう立ち位置だったんですか?
一時期活動していた地球三兄弟とかの時は、サポートのドラムの方と民生さんもドラムを叩いてたので、2台分のドラム担当ということでツアーを回らせてもらってました。民生さんの「ドラム叩くからツアーで担当してよ!」のひと言で、入社したての新人が大きな現場に行くことができた上に、大好きなドラムを担当させていただいて、とても良い経験をたくさんさせてもらえましたので、民生さんには感謝しています。今もその時の縁で、たまにユニコーンの現場もドラム(川西幸一)担当で行かせていただいてます。
チャットモンチ―の時はどうでしたか?
チャットモンチーの現場は担当ではなかったのですが、入社しての初現場でした。その時は先輩の動きを見て、ひたすら学ぶ感じでしたね。最初の頃は、弊社のいろんな現場を体験し、皆さんに顔を覚えていただくんです。
この業界は「仕事は盗むもの」というか、先輩の仕事を見習って自分で習得するものっていうイメージがあるんですが、実際はどうなんでしょうか?
そういう部分も残っているかもしれませんし、だからというわけではないですけど、事前に知識があったほうが絶対にいいと思います。私も学校で学んだことや校外での実習を経験していたから、ある程度すんなりと入っていけたというのはありますから。ちなみに弊社の場合は、いきなり現場に配置して、上司や先輩の指導を受けながら実際に仕事をして覚えていく方法を採用しています。弊社の先輩はすごく優しいので、親切丁寧に教えてくれます。
今は住岡梨奈さんを担当しているとのことですが?
『COLORS 2014』の時みたいにソロ(弾き語り)の場合は本人でできるので私が行くことはないのですが、バンド体制の時は私と制作(舞台監督のような立ち位置)の先輩で行って、ふたりで回してます。ローディーの立ち位置としては、私ひとりです。
住岡さん以外で担当しているアーティストやバンドは?
Schroder Headz(シュローダーヘッズ)っていうバンドを担当してます。キーボードとドラムとベースの3ピース・インストゥルメンタル・バンドなんですけど、すごいカッコいいんですよ。地域や日程によってサポート・ミュージシャンが変わるんですけど、そうなることで、一緒の曲が全然違うように聴こえるんです。ジャズ系の時もあれば、クラブ・ミュージック系に聴こえる時もあるっていうか。宣伝みたいになっちゃいましたけど、10代20代の若い人たちにぜひ聴いて欲しいバンドですね。
ちなみに、SMA所属のアーティストにつくことが多いんですか?
はい。たまにそうじゃないこともありますけど……基本的にはSMAのアーティスト担当なんで、外の現場はあんまりいかないです。

圧倒的に男性が多いですが、同じ年くらいの女性も最近増えてきました。

バンドの場合、ライブ当日、朝起きてから寝るまでの動きを説明するとどんな感じになるんですか?
ホールとかだと8時、9時入りとかですね。ライブハウスとかなら12時入りとかが多いですね。まず会社に車を取りに行くんですよ。都内の単発ライブとツアーだと違うんですけれど、入り時間の1時間前くらいに会社に行き、でっかいハイエースを運転して会場に行って、搬入して、セッティングして、音出しチェックを本人が来る前にして、余裕があれば休憩みたいなのがあるんですけれど、その後リハーサルをして、最終チェックをして本番、みたいな感じです。
基本ほぼ休んでない感じなんですね。
そうですね。現場の本番の日は、休みがなかなかないです。
下手するとランチなし、みたいな?
たまにありますね(笑)。何かは口に入れるようにしてますけど(笑)。大きな現場に行けば、みなさん余裕があるんで、さっさと終わらしてお昼食べますけど、小さな現場で人が少ないと、やることがたくさんあるので。
大きい会場ならではの気をつけなければいけないこと、小さい会場ならではの気をつけなければいけないことはありますか?
どちらも基本は変わらないのですが、ステージの大きさがアリーナやホールとライブ・ハウスとではまったく違うので、曲によってのギター・チェンジなどで歩いて持っていく距離が全然違いますね(笑)。ライブ・ハウスなら数歩で届く所が、アリーナでは走って持っていかないと曲間中に間に合わなくなってしまうような時もあるのでひたすらシミュレーションです。
ローディーとしての制服みたいなのはあるんですか?
弊社は自由ですね。髪形もこんなんで怒られないし(笑)。
自分的に動きやすい格好って感じですか?
はい。でも基本、本番に着る服は黒と決まってるんで、全身黒いです。スキニ―・ジーンズにTシャツってパターンが多いですね。夏だと、短パン履いてることもあります。フェスだと明るい格好しても怒られないんですけど、基本、目立たない格好してますね。
基本は黒なんですね?
はい。でも、バンドによっては、ローディーの衣装があるみたいです。私は担当したことないですけど、スーツを着ないといけないバンドとかあるみたいです。
ローディーなのに?
はい。ローディーだけでなく、スタッフ全員スーツっていう。あとは、メンバーと一緒の派手なメイクをしてハイヒールを履かなくてはいけなくなりそうになったっていうケースも聞いたことがあります(笑)。でも、作業するのに支障をきたすので、なしになったそうですが。
ローディーの男女比はどんな感じですか?
圧倒的に男性が多いですね。現場でバリバリ働いている女性は、少ししか知らないです。同じ年くらいの女性は最近増えてきたんですけれど。弊社でも(ローディー)11人中、女性はずっと私ひとりだったんですけれど、今年後輩が入ってふたりになりました(笑)。
基本的には男性中心の縦社会ですか? 先輩は絶対、みたいな部分はありますか?
私自身はあまりそう感じたことはないですし、昔よりは緩くなったって聞きますね。
休みの日ってどういう風に過ごしてますか?
友達と遊ぶか、凄い寝坊するか、あとは自分の好きなバンドのライブに行ったりします。
どういったバンドが好きですか?
なんでもジャンルに関係なく、良いと思ったものは聴くのですが、主にはインディーズのパンク系が好きです。有名なところだと、ELLEGARDEN、SHANK、Northan19、TOTALFAT、10-FEETとかも聴きますね。レーベルで言うと、THE NINTH APOLLO 、CATCH ALL RECORDS とか好きです。
海外ものとかだと?
海外だとSlipknot、A Skylit Driveとか、またちょっとジャンルが違うほうにいってしまいます。
プライベートで好きなファッションとかは?
気分によって変わるんですけど、全身黒の時もあれば、めちゃくちゃカラフルな時もあります。ブランドはあまり興味なくて、古着が多いですかね。服を買うのは原宿が多いです。
愛読しているファッション誌は?
ファッション誌は最近あんまりジャストなのがなくて……。でも、『Zipper』とか『NYLON』とか、あと男性誌も読みます、『Ollie』とか。

七つ道具的なものは、マグライト、グローブ、テスター、チューニング・キー、マジックペン、あと、フェスとかだとビニールテープもあるといいですね。いろいろ腰にぶら下げています。

この仕事をやっていて、やりがいを感じる瞬間は?
まだ技術も私より上の人がいっぱいいるし、(私の)代わりはいくらでもいるんですけれど、終わった時にメンバーさんから「今日いてくれて助かったよー」とかお礼を言ってもらうと、すごい嬉しいです。
今まででやっちゃったとか、ちょっと失敗しちゃったこととかなんかありますか?
辛かったことや失敗みたいなのを考えたんですけれど、辞めたいくらい辛いことはないんですよね。嫌なことはたくさんあるんですけれど、明日の現場嫌だなとか(笑)。
その嫌だなっていうのは、どういう嫌なんですか?
ひとりで初現場とかですね。ひとりで行かなければいけない時、責任は私ひとりなんで。もちろん、どこに行っても責任はあるんですけれど、誰も先輩がいない現場とかは、すごく緊張します。
楽器をプレイする側から、プレイする人を支える側になったことで、自分の中で音楽だとかライブに対する考え方とか変わったなってところはありますか?
私、バンドではドラムだったんで、現場でもドラム担当になることが多いんですけれど、自分だったらこの方が良いかな?と思うことを相手と相談しつつ進めていきます。まだ自分の意見が言えるほどではないのですが、頼りにしていただけるように頑張ります。
仕事をやっていく中で、自分の中での決め事というか心がけていることはありますか?
まだそんなに技術はないので……ただ、リハーサルでも本番でも同じ状態に組まなければいけないので、それをできるだけ丁寧にやるように心がけてます。一度、あるアーティストの方に「昨日と同じにセッティングできていたよ。完璧だったね」って言われて嬉しかったです。
ローディーやっていく上での七つ道具みたいなのものはあるんですか?
工具箱にはチューニング・キーとかドライバーとかいろいろ入ってるし、入っているものは人によって違ったりするんですけど、絶対持ち歩いているものというか、七つ道具的なものは、マグライト、グローブ、テスター、チューニング・キー、マジックペン、あと、フェスとかだとビニールテープもあるといいですね。いろいろ腰にぶら下げています。
そういったものを入れるケースにこだわりとかあったりするんですか?
できるだけカワイイものを選んでます。みんなには、オモチャって馬鹿にされたりしますけど(笑)。
谷林南の七つ道具

谷林さんがいつもリュックに入れて持ち歩いてる七つ道具(左から時計回りに)

  • ・奥田民生氏、サケロックの伊藤大地氏にもらったドラムのチューニング・キー
  • ・ドラムのネジをしめたり緩めたりする工具
  • ・クロス
  • ・マグライト
  • ・マジックペン
  • ・テスター
  • ・七つ道具をしまう『ET』ポーチ
  • ・名刺入れ
  • ・ドライバー・セット
  • ・グローブ(Penguinace Fit Revolution Non Slip Light)
  • ・ピック・ケース
  • ・楽譜を留める魚の形をしたクリップ
  • ・テープ
ローディーあるある、みたいなの何かありますか?
あるあるってほどではないですけど、ライブに行くと、それが大好きなアーティストだったとしても、スタッフ見ちゃうというか。あのローディー、やっぱり動きが違うわ、とか(笑)。あと、楽器とかガッツリ見ちゃいますね。それから、みなさん年齢不詳(基本、実年齢より若々しく見えます)、本名からかけ離れた (外国人のような) ニックネーム、お酒大好きな方が多いかと思います(笑)。ちなみに私は、堂島孝平さんの現場では“チャンス”って呼ばれてます。堂島さんに付けていただきました。
ローディーを目指している人に対してアドバイスをするとしたら?
ローディーをやりたいってことを周りに宣言したほうがいいです! そうすることで、それを聞いた誰かが情報を持って来てくれたり、アドバイスしてくれたりしますから。あとは、得意な楽器が何かひとつあればいいですね。それをアピールしていけば、周りとも打ち解けやすいし……。楽器はできないよりできた方が楽しいですよ。
ローディーとして大事なことって何ですか?
まずは健康が一番ですね。体調管理はしっかりしないと。自分の代わりがいるかもしれないですけれど、そのうち、代わりがいない現場が出てくるんで。あとは、楽器というより人との仕事なので、気配りが大事ですかね。
ローディーになるためには資格とか必要ですか?
これといった専門的な資格は必要ないですが、極めたい人は電気系の免許を持ってたりしますね。でも、そういうのがなくても全然大丈夫です。あっ、でも、車の免許は絶対必要です。
ハイエースに乗って機材を運ばなくてはいけないですもんね。
はい。あと、2トン以上の車を運転できる免許を持っていれば、優先的に採用してくれると思います(笑)。
ハイエース運転するのって大変じゃないですか?
逆に今、普通車が運転できなくて(笑)。車高が低いし前が広いんで、周りが見えなくて怖いんですよ。ハイエースは前が狭いし、後ろもミラーがたくさんついてるので運転しやすいです。
ローディーとしての今後の目標は?女の人が少ないから目標にする人が多分なかなかいないと思うんだけどもしこんな目標にしているひとたちがいるんならそれでもいいし、こういうローディーなのかローディーも含めてこういう感じになりたいというのを教えてください。
女性にしか気づかないこと、できないことってあると思うので、女性ローディーに頼みたいと思われるような現場を増やして行けるよう頑張りたいです。女性のローディーさんって、まだまだ私も現場に出てないのでお会いする機会がないのですが、第一線で活躍されている方は、私の知る限り3、4人ぐらいしかお会いしたことがないので、その方たちと肩を並べられるように努力したいし、できるだけ長く続けたいですね。そういった意味でも、女性にとってはいい職場環境かもしれないですね(笑)。

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