E! & CULTURE

Top > E! & CULTURE > STARMARIEが行く!アニソン・シンガー/声優への道 影山ヒロノブ

STARMARIEが行く! アニソン・シンガー/声優への道 Vol.2 影山ヒロノブ

死をテーマにしたファンタジーな物語を、歌とダンスで表現する5人組の女性グループ、STARMARIEとのコラボ企画!
立派な(!?)アニソン・シンガー/声優になるという自分たちのWANTSのため、第一線で活躍中のアニソン・シンガー/声優をゲストに迎えてインタビューを行ない、ノウハウを聞き出します!
高森紫乃(しのはむ)・木下望(のんちゃん)のふたりが代表で参加した第2回目のゲストは、アニソンの第一人者であり、アニソン界のプリンス、影山ヒロノブ!!

アニソン業界自体がすごく新しいし、毎日新しいスターを待っている業界だと思います。だから、男性も女性も、特に若いアーティストがアニソン界で自分たちの才能を開いてくれることをすごく望んでいます。自分の立場でいうと、男性の若いシンガーが声優さん以外でほとんどいないんですよ。だからぜひバンド、ソロ問わず男性のミュージシャン、アニソン界で音楽やってほしいと思います。

高森紫乃:デビュー40周年おめでとうございます。

影山ヒロノブ:ありがとうございます。

高森紫乃:ここまで長く第一線でご活躍できたのはなぜだと思いますか?

影山ヒロノブ:友達に恵まれたことかなと思いますね。40年前にバンド(LAZY)で大阪から出てきたんですけど、キーボードのメンバー(井上俊次)が今、俺やJAM ProjectのCDを出してるランティスっていう会社の社長だったりするので、友達に支えられて、気づけば40年みたいな。

高森紫乃:すごい! 考えられないですね。

影山ヒロノブ:40年、想像がつかないよね。

高森紫乃:STARMARIEもやっと9年目に突入して……。

影山ヒロノブ:そうなんだ!

木下望:アイドルとしては長いほうで。でも、40周年となるとまだまだなので……。

影山ヒロノブ:そりゃそうだよ(笑)。40周年だったら怖いよね。

高森紫乃:でも、40年続けたいです。

影山ヒロノブ:いや、ありだよね。

高森紫乃:今のアイドルって、すごいどんどんやめていっちゃって、若いうちしかアイドルできないみたいになってしまってて……。それをどうにかして何十年も続けられるようにしたいんですけど、影山さんはすごい長く続けてらっしゃるから……。

影山ヒロノブ:自分のことじゃないけど、例えばさ、普通にアイドルだったけど、だんだんひとりで、個性に合わせていろんなことをやって、それでまた世界を広げながらも戻る場所はいつもここになったりする。そんな女の子のユニットがあってもいいじゃない? ひょっとしたらないかな?

高森紫乃:ないですね。確かに。

影山ヒロノブ:ね。そういうのを目指すのもいいかもね。

高森紫乃:頑張ります。

影山ヒロノブ:音楽って素晴らしいものだとすごく思うんですよ。自分はこの職業について、ここまでできたことをすごくラッキーだと思ってるんで、業界の後輩たちに「最高だからずっと続けたほうがいいよ」って言いたい。それが例えアイドル・ユニットであっても、ずっと続けることを大事にしたほうがいいと思う。

高森紫乃:ありがとうございます。すごく嬉しい。影山さんがアーティストになろうと思ったきっかけについて教えてください。

影山ヒロノブ:自分自身はそんなになりたいと思ったわけではなくて、たまたま小学校6年生の時にクラスメートで一緒にフォーク・ギターを始めた親友がいて、それが今、LOUDNESSでギターを弾いている高崎晃ってヤツで(笑)、そいつがすごいプロ意識の強い人間で、中学の時から将来は絶対プロになるって言ってたんですよ。俺は音楽は楽しいけど、プロとか全然考えられないよってタイプだったんだけど、でも高校1年の時にそのバンドでスカウトされて上京したんで、こうあれよあれよという間にその渦に自分も巻き込まれて。だから友達がというか、友達の影響で自分も東京につれて来てもらった、みたいな。

高森紫乃:何か別に夢があったってことですか?

影山ヒロノブ:いや、全然なかった。その当時は実家が床屋さんだったし、男は俺ひとりだったんで、このまま高校か大学を出たら理容学校とか美容学校に行って、理容師か美容師になるのかなと思ってたんですけどね。

高森紫乃:へぇ、全然違う。

影山ヒロノブ:結局、高校2年の時にデビューして……。

高森紫乃:すごい。私もアイドル始めたの高校2年生の時だったんですよ。

影山ヒロノブ:なんでそんなに遠くを見つめてるの(笑い)。

高森紫乃:それでもけっこう前なんで、当時のこと思い出しちゃって。……バンド、ソロと成功されて、アニメ・ソングを担当すると決まった時の心境を教えてください。

影山ヒロノブ: 20歳の時にバンドが解散して、そのあとソロ・シンガーになったんですけど、まあ、あまりうまくいってなかったんですよね。うまくいってないと、どんどん落ちていくじゃないですか、お客さんもだんだん少なくなるから、ホールからライブハウスになって、ライブハウスもたまにしかやらなくなった時にレコード会社とも契約が切れたりして、ちょっと大変な時期があったんだけど、そんな時にバースディソングっていうプロダクションの社長と出会って、「お前のマネージメントをやってやる。ただ、ギャラとかもちゃんと出せないかもしれないけど、ライブだけはいっぱいやらせてやるから」って言われて。そこにかけるしかないと思って一生懸命やり始めた時にコロムビア・レコードのアニメ班のプロデューサの方から、「『スーパー戦隊』シリーズの歌を歌ってみないか」って言われたのがきっかけなんですよ。

木下望:突然のことなんですね。

影山ヒロノブ:うん、もうビックリして。と同時に、すごい嬉しかった。世の中全部が、影山ヒロノブなんてどうでもいいってくらい自分がダメだと思ってたから、その時に「これ歌ってくれない?」って言われたことは、もう本当にありがとうって感じだった。

木下望:もともとアニメが好きだったとか?

影山ヒロノブ:いや、その時は全然。

高森紫乃:えー。

影山ヒロノブ:ただ普通に日本で育った子供なんで、俺の年齢でも子どもの頃からアニメとか特撮は溢れかえってたし、観てたんで、普通にいい仕事だと思いましたね。

木下望:私たちSTARMARIEは、ちょっとダークでカワイイとはかけ離れた世界観を持っているんですけど、突然アニメの主題歌をやらせていただくことが決まって、その世界観との折り合いに苦戦した時期があって。急にカワイイ歌をやり始めたので、ちょっとあれ?って思うファンの方もいて……。影山さんの中では、そういった苦悩とかはありましたか?

影山ヒロノブ:いや。振り返っても全然そう思ったことはなくて。今はJAM Projectで自分が作った歌を歌うことも多んですけど、アニソン・シンガーとしてのキャリアのスタートから20年目くらいまでは、歌うことばかりというか、いろんなテレビ番組があったけれど、なんでも依頼されたものを1番いい形にするのが自分の仕事だと思ってたんで、自分のイメージとかはあまり気にしなかったですね。今、声優さんとかアニソン・シンガーって、すごくフロントに出る仕事じゃないですか。J-POPの一部といっていいくらいメジャーな場所で仕事してますよね。でも、俺がアニソンを歌い始めた頃は、アニソン・シンガーって、まあ声優さんもそうだけど、みんなよく知ってる声でよく知ってる歌なんだけど、でもどんな人が歌ってるのかはちょっとどっちでもいいというか、縁の下の力持ち的な職業だったと思うんですね。

高森紫乃:今と全然違いますね。

影山ヒロノブ:うん、違うと思う。

木下望:今は普通にコンサートやったりしてますもんね。

影山ヒロノブ:アニソン界の人たちだけでね。俺が入った頃には『アニメロサマーライブ』みたいなのは絶対、夢のまた夢だった。アニソンだけのコンサートで3日間で10万人近い人が集まるとか、ありえないと。みんなそれぞれのところでの細々と、ね。声優さんたちも第何次声優ブームとかね、昔もベテランの方たちがアイドル的になったことはあるけど、今と比べると、ここまで大規模ではなかったと思う。

アニソンらしいアニソンがなくなってしまうのは、
ひとつの文化が失われるに等しい

高森紫乃:先ほどお話に出たJAM Projectについてお聞きしたいんですけど、水木一郎さんの「21世紀へ古き良き“アニソン魂”を残したい」という呼びかけによって、2000年に結成されたプロジェクトですが、どういう思いで参加されたんですか?

影山ヒロノブ:アニキ(水木一郎)とは、最初から一緒なんですけど、アニキが言ってることは、「アニソンは、そのアニメのために作られた歌じゃないといけない」ということなんです。例えば、「これ、全然このアニメと関係ないね」って。でも、アニメ作るのもどんどんお金がかかる時代になってきて、やっぱりそういうのは必要だから、そういう業界の流れは理解できるけど、全部が全部そうなって、それこそ水木さんなんかが歩んできたアニソンらしいアニソンがなくなってしまうのは、どうしてもひとつの文化が失われるに等しいと。それならば、世の中の流れはどうであれ、自分たちはちゃんとその番組のための主題歌を作って、そういう気持ちを残していく運動を続けようよっていうのでできたのがJAM Projectです。JAMは、Japan Animationsong Makersの略称なんです。

木下望:最近だと、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』観てたら、オープニング曲がJAM Projectさんの「The Brave」って曲だし、自分が観てる番組とかアニメ、例えば『ワンパンマン』もですけど、観るもの観るものJAM Projectさんが歌ってて、すごいなと思って。私たちも、ライブで一度「SKILL」をみんなで歌ったことがあったんですけど、めっちゃ盛り上がりました。

木下望:凄い盛り上がったよね。私もこの曲がすごい好きなんですけど、すごいカッコ良くて大好きです。

影山ヒロノブ:ありがとうございます(笑)。

高森紫乃:特に有名な『ドラゴンボールZ』の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のエピソードについて聞かせてください。この楽曲を歌ったことで、従来の活動からどのような変化がありましたか?

影山ヒロノブ:「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は、もう自分の人生のすべてを決めてくれたくらい大きな作品だと思うんですよ。自分が今、JAMのリーダーをやってることも、それから海外に呼ばれてしょっちゅう歌いに行くことも、もし「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を歌ってなかったら、かなりの確率でなかったと思うんですね。だから自分の人生の中で、一番大きなチャンスというかラッキーというか、すごい大きいことです。でも、初めて歌詞をもらった時は、絶対こんな変なのダメだと思ったんです。

STARMARIE:(笑)。

影山ヒロノブ:音だけ先に聴いてたんですけど、けっこうカッコいいなと思ってて。ちょっとアメリカン・ハード・ロックみたいな、ボン・ジョヴィみたいでカッコいいなと思ってたんですけど、レコーディング前に歌詞をもらって、「えっ? CHA-LA HEAD-CHA-LA?」って。

木下望:へのへのかっぱとか(笑)。

影山ヒロノブ:そう。「山さえ お尻に見える」とかね。そんなのばっかりだったんで、「えー、これってコミック・ソングじゃん」みたいな。せっかく曲カッコいいのになって思って、最初はちょっとネガティブになりました。

高森紫乃:そうなんですね。

影山ヒロノブ:そう思いながらスタジオに行ったんです。でも、歌うと自分自身すごい盛り上がって、歌い終わって聴いた時に、ふざけてるんじゃなくて、みんなむっちゃハッピーになれるんじゃないかなと思ったんですよ。『ドラゴンボール』も僕が歌い始めたやつからZっていうシリーズになったわけですけど、ライブとかも、どんどん新しいアニメ・フリークのお客さんが増えてきて、普通に仕事も忙しくなって、なんかこの曲の前と後で、自分の人生がガバっと変わった感じ。

木下望:すごいカラオケで歌います。コールもしやすいし、めちゃめちゃ盛り上がるすごい好きな曲なんです。ところで、海外でのライブの反応は、日本とは異なるのでしょうか?

影山ヒロノブ:その当時『ドラゴンボール』って、日本ではもちろんすごい人気あったんですけど、海外でも負けず劣らず人気あったんですよ。特に南米とかヨーロッパとかすごくて、一番最初にヨーロッパで歌いに行ったのはスペインだったんだけど、みんな「CHA-LA HEAD-CHA-LA」が始まると、何千人もの人たちがみんな大合唱になったりするんで、えー、こんなに日本のアニメを海外の人たちは知ってるんだなって。逆に、これは日本に帰ってみんなに教えてあげないとっていうぐらい、海外での日本のアニメ文化っていうものがすごかったですね。

木下望:STARMARIEも昔からけっこう海外には行ってたんですけど、当時はアニメの主題歌を歌ってなくて……でも、『カードファイト!! ヴァンガードG』のエンディング・テーマ「メクルメク勇気!」(2015年7月19日〜)やアニメ『鬼斬(おにぎり)』の主題歌『姫は乱気流☆御一行様』(2016年4月6日〜)を歌うようになってから海外でやったらすごく盛り上がって。ヴァンガードの曲は、特に。

高森紫乃:知ってるの〜、みたいな。すごい私たちもビックリして。やっぱりアニメの力ってすごいなと思いました。

影山ヒロノブ:今って、インターネットがあるじゃん。昔はインターネットってなかったから……ここ20年ぐらいってインターネットの力がすごくて、どこの国に行っても、それこそ初めて行ったところでも、いろんな人が自分たちのことを知ってるってことがほとんど当たり前で。だから、なんだろう、一番すごいと思うのは、例えば日本はすごく小さな国だし、昔に比べて日本が大きくなったのは、自動車とか電気製品とかを世界で売り出したからでしょ。でも、ひとつのものを売り出そうと思うと、すごい金額の宣伝費を投入しなくちゃいけない。でもアニメとかコスプレって、もう自然にインターネットの波に乗って世界に一気に出て行って。そのころ俺たちが初めて海外に呼ばれて歌ってた時には、初めて行くのに1万人とかのお客さんがいたりして。

STARMARIE:すごい!

影山ヒロノブ:でも、日本の誰もそんなこと知らなくて。「えっ、マジで!? ブラジル?」とか言われて。

高森紫乃:日本の真裏でそんなことが。

影山ヒロノブ:今は『クール・ジャパン』とか言って、コスプレやアイドルといった日本のカルチャーを国がバックアップしてくれるところまで来てるけど、それってインターネットのおかげっていうのもすごく大きいと思う。

高森紫乃:確かにそうですね。これまで、どのくらいの国に行かれましたか?

影山ヒロノブ: 20ヵ国くらい行ってるのかなって。

高森紫乃:一番印象に残っている国はどこですか?

影山ヒロノブ:うーん、やっぱり一番最初にブラジルに行った時は感動したな。現地に絶対ファンとかいないと思ってたんだけど、早朝サンパウロの空港に着いてロビーに出て行ったら、朝の7時前なのに100人ぐらいが騒ぎ出してて。てっきり後ろにサッカー選手でもいるのかなと思ったら、イベントに出演するために来た日本人のゲスト、つまり俺たちを迎えにきてくれたブラジル人のファンで、こんなにインターネットの力ってすごいのかと思いましたね。

木下望:日本のファンとブラジルのファンでは、盛り上がり方とか違ったりするんですか?

影山ヒロノブ:いや、ほとんど一緒だと思う。

木下望:熱いですよね。

影山ヒロノブ:最近みんなサイリウムまで覚えちゃって。

木下望:ブラジルの方も?

影山ヒロノブ:世界中の人がやってる。

高森紫乃:あれ、すごいですよね。日本特有だけど、海外の人もやってる。

影山ヒロノブ:今でこそオタクは日本では平気だけど、マンガばっかり読んでる子はちゃんとしなきゃダメだよって言われてた時代もあったわけで。今、海外では、オタク・コンベンション略してオタコンとか、「We are OTAKU people」みたいな感じで、オタクの人たちっていうのは自分たちの生き方とか趣味を誇らしく思ってるし、「自分はオタクだよ」って、みんな胸を張って言えるくらいすごくいい言葉で、それは日本から来てるってことで日本のことはみんな大好きだし、毎晩、今日、日本で起こったことを調べてると思う。今日STARMARIEが何をしてたとかも、世界中のファンがね。

木下望:私たちよりも日本のことを知ってる人が多い気がします。

ピンチな時ほど明るく頑張るってことを実践できる人のほうが、
何十年と続けられる気がする

高森紫乃:確かに、日本のファンが知らないことを海外のファンが知ってたりとかすることもあって、私もすごいビックリすることがあって。……質問変わるんですが、喉のケアで普段から気をつけてることがあれば教えてください。

影山ヒロノブ:自分にとっての喉のケアというのは、一切ケアをしないことです。

STARMARIE:えーっ!

影山ヒロノブ:あんまり薦められないけれど……業界でも、ケアしすぎる人って大概神経質になって、本番前にナーバスになってたりする。「どうしたの?」って言ったら、「今日イマイチで……大事なコンサートなのに失敗しちゃったりしたら、みんなに迷惑かけちゃうからどうしよう」みたいな。

木下望:それ、私たちよくなります。

影山ヒロノブ:俺とか(JAM Projectの)遠藤(正明)は、そういう人を見ながら、今日調子いいか悪いかわからないけれども、どうしようもねぇだろ、みたいな。

STARMARIE:むっちゃ面白い(笑)。

影山ヒロノブ:だから普通にお酒とか飲むし、どんなに調子が悪くても普通にステージには上がる。確かにステージに出てみて、出ねぇっていう時はあるけど、それも含めて、まあ完璧さを求めるならそういうのを考えてするのがいいのかもしれないけど、そういう人のほうがナーバスになって、ちょっと風邪引いただけでステージで小っちゃくなって今日最悪だったって言ってる人をよく見かける。俺たちは風邪引いてようがなんだろうが出るし、でもそういうところはあってもお客さんを盛り上げたり、自分たちの良さをわかってもらうのはハートの部分だったりするから、ガーンと行って出てねぇよ、みたいな(笑)。

高森紫乃:カッコいい!

木下望:ナーバスになっちゃうもんね、うちら。どうしよう、歌えるかなって。

影山ヒロノブ:毎晩、酒を飲むのは良くないと思う。でも、我慢して打ち上げに行かなかったりとかはない。その日のスタッフたちとやっぱり「ありがとう!明日も頑張ろうぜ」って盛り上がって、次の日もやるっていう。

高森紫乃:カッコいい! 気にしなきゃと思って、辛いもの食べないとか、すごいしちゃうんですけど。

影山ヒロノブ:辛いもの、メッチャ食う。

高森紫乃:本当ですか? 私もすごい辛いもの好きで……May'nさんも「気にしててもしょうがないから、好きなもの食べたほうがいい」ってアドバイスされて、「ああ、そうなんだ」と思って。

木下望:私たち気にするもんね。

影山ヒロノブ:May'nちゃんもそういうタイプに見える。すごいハード・スケジュールの時も明るいから。ネガティブなことが自分に起こった時に、それに対してすごくナーバスになる人は、一番この仕事に向いてないかもなと思うことがある。だって、長く続けてれば嫌なことなんか山ほどあるじゃん。それにいちいち打たれてたら、疲れて続けられなくなるじゃないですか。それよりも、楽しんでるところをお客さんに観てもらうことが仕事だから、少々ネガティブなことがあろうが気にせず、お客さんがいなかろうが何しようが、ピンチな時ほど明るく頑張るってことを実践できる人のほうが、何十年と続けられる気がする。

木下望:ありがとうございます。ステージに立つ際に気をつけていることってありますか?

影山ヒロノブ:ステージの上って短いじゃないですか、時間が。音響がすごく悪かったりだとか、声の調子もそうだったりするんだけど、いろんな嫌なことが起こっても調子出ない風には絶対したくないと思ってて。今の曲イマイチ入れなかったと感じたら、よし、この曲まで引きずったマイナスの感情は、この曲が終わったら一切捨てて、次の曲のイントロから心機一転。ボーリングでいうとガーターが2回続いたけど、次は絶対ストライクとれると思って気分転換しながら、どっかで悪い流れを変えて、最後はお客さんも楽しんでくれて、自分も「今日来てくれてありがとね。また来いよー」って、自信持って去りたいと思う。

木下望:ステージの前とか、私たちすごい緊張しーで、どうしようどうしようってなる時あるんですけど、影山さんはもう緊張って……。

影山ヒロノブ:いや、むっちゃ緊張する。

木下望:えーっ、本当ですか?

影山ヒロノブ:もうステージ前はすごいチキンで、すごいゲロ出そうになる。でもそれは、たぶん治らないと思う。これから本番でお客さんがいて、みんなお金を払ってくれて、そこで自分のいいところを見せなきゃいけないと思うと緊張するから、緊張したまま出るのは仕方がなくて。でも、やってるうちに緊張がだんだん取れていくのがすごく好き。ステージの上でだんだん自由になっていくというか。頭からイケる時もあるし、3曲目くらいからだんだん「なんかいいな」って時もあるし。最初はグッと緊張してるけど、行こう!とか、まず最初に「ワー」と叫ぶかな。緊張はこの先、死ぬまですると思う。

木下望:なんか安心しました。

自分たちの得意技とかウリとか、
それを貪欲に考える人が残っていく世界だと思う

高森紫乃:2017年以降、どんなアーティストが活躍できると思われますか?

影山ヒロノブ:例えば僕のいる世界は、狭い言い方をすればアニソン界じゃないですか。アニソン界で思うことはやっぱり、どんどんどんどん得意技に分かれていくと思うんですね。一番大事なのは個性だと思うんですよ。自分にしかできないことを早く確立したほうが生き残れる可能性が強いと思う。売れてる人に近いと昔は良かったんだけど、今は近いんだったら本家の方がいいじゃん、みたいな。だから、JAM Projectなんかもやってるのは、アニソンの作り方も以前はそんな感じで、例えば転調したりサビから始まってっていうパターンとかばっかりになった時期があって、今なんかもある程度はそういうのあるんだけれども、なんか俺たちは『ワンパンマン』の時も『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の時も、やっぱり他の人がやらないようなロックで、自分たちが一番うまくできるスタイルを絶対見つけたいなと思って作ったし、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の「The Brave」をちょっとジャズっぽい感じにしたのも、なんかやっぱり自分たちだけしかできないっていうことを一番のテーマにおいてやってるんですね。それはベテランになっても、やっぱり長くこれからも続けたいという気持ちで。で、それは若いとかベテランとか関係なく、みんながそうあるべきだと思うんですよね。例えばアイドルっぽい人が続いたって時に、やっぱりまたこの手っていう風になったら絶対良くないと思う。同じジャンルでも、こっちはこれがすごくて、あっちはあれがすごいから全然違う、だから、ふたりともデッカイところでコンサートできるんだよっていう、自分たちの得意技とかウリとか、それを貪欲に考える人が残っていく世界だと思う。そうあってほしい。まあカッコ良く言えば、“同じヤツはふたりいらない“っていうか。

木下望:唯一無二。

高森紫乃:私たちの世界観もなんか変で……。

影山ヒロノブ:(笑)。

高森紫乃:そうなんですよ。ちょっと万人受けしにくいというか、ちょっと可愛いアイドル好きの方にはウケない。人の死をテーマにした曲を歌ってて。

影山ヒロノブ:いいと思うよ。

木下望:アニメの曲で、曲中では死に関することはまったくなかったりするんですけど、振り付けとかで人を斬るとかっていう振りつけがあったりして、必ずどこかが死に関連してるっていう。

高森紫乃:そこは貫いてますね。

影山ヒロノブ:いや、絶対いいと思う。2年目のAnimelo Summer Live(アニメロサマーライブ)に、ALI PROJECT(宝野アリカ/voボーカルと片倉三起也/kによる日本の音楽ユニット。通称は「アリプロ」)っていうふたり組が初めて出てきて、宝野アリカさんっていうボーカルの女性が歌詞を書いてるんだけど、すごいゴシックなヨーロッパの古典みたいな歌詞で、ステージもすごい個性的なの。煙の中から宝野アリカさんが現われて、その後にアシッド・クィーンっていう、身長2mくらいあるダンサーがドーンと出てくる。それを観てすごい感動して、アニソンの世界もここまでやっていいんだなと思って。ALI PROJECTは自分たちのファンをしっかり持ってて、世界中にファンもいるし。やっぱり個性だなと思いましたね。だから、これやったらネットで叩かれるかなとか考えないで、そんなことは周りのスタッフが考えることで、自分たちはどうやればもっと他と違うことができるかを貫いたほうがいいんじゃない。

高森紫乃:嬉しいね。ありがとうございます。

影山ヒロノブ:そのほうがストレスも少ないですね。あと、楽しいと思う。

高森紫乃:ありがとうございます。影山さんがほとんどの夢を叶えられたと思うんですけど……。

影山ヒロノブ:そんなことはない(笑)。

高森紫乃:では、影山さんの現在の夢は?

影山ヒロノブ:夢というか、できれば1年でも長くステージをやっていたいと思いますね。今、アコースティック・ギターを持って、必ず月2本、全国を廻ってるんですよ(編注:「ソロアコギの旅」と称する、全国を廻るアコースティック・ギター・ライブ活動)。それもすごい遠くに行ったりするのが好きで、1月に奄美大島とその隣りの喜界島っていうところでやったことが今年の仕事始めなんだけど、そういう旅とステージとが自分の人生の一番大事なものかなと思うんで、ずっとそうやって1日でも長くやれればいいかなと。

高森紫乃:行ってみたい国とかありますか?

影山ヒロノブ:いっぱいある。国というかね、世界遺産が好きで何箇所か観たんだけど、トルコのカッパドキアとフランスのモン・サン=ミッシェルが観たい。あと、イースター島に行ってみたい。

木下望:私たち、行ったことある? マーライオンしかないよ。

影山ヒロノブ:あれって世界遺産だっけ? こんなこと言っていいのかわからないけど、世界3大がっかりって言われてる(笑)。

木下望:確かに小っちゃい(笑)。

影山ヒロノブ:やっぱり、エジプトのピラミッドとかマチュピチュの遺跡とか観ると、これ人間が作ったのかって思うじゃないですか。そういうところに行けるってことはラッキーなことだし、すごい数が世界中にあるから、行きたいね。

木下望:2月発売のヴァンガードのコンピレーション・アルバムにJAM Projectさんの曲とSTARMARIEの曲が一緒に収録されることが決まっていて、本当に嬉しくて。

影山ヒロノブ:こちらこそ嬉しいです。

高森紫乃:デビュー40周年の今年、どういった年にしたいですか?

影山ヒロノブ:いろんな意味で記念に残るものをファンの方たちと分かち合いたいです。ひとつ決まってることは、7月25日に40周年の記念アルバムを出すってこと。それが出て初秋に東京、大阪で40周年記念ライブをやりたいなと思ってます。

高森紫乃:最後に、アニソン・シンガーを目指している方にメッセージとアドバイスをよろしくお願いします。

影山ヒロノブ:業界自体がすごく新しいし、毎日新しいスターを待っている業界だと思います。だから、男性も女性も、特に若いアーティストがアニソン界で自分たちの才能を開いてくれることをすごく望んでいます。自分の立場でいうと、男性の若いシンガーが声優さん以外でほとんどいないんですよ。だからぜひバンド、ソロ問わず男性のミュージシャン、アニソン界で音楽やってほしいと思います。

STARMARIE:ありがとうございます。

影山ヒロノブ:ありがとうございます。頑張ってください。

SEARCH